レーザにより、EV生産でのバスバーストリッピングを高速で実施

COレーザは、電気バスバーから絶縁層を効率的に除去することができ、自動車製造環境に容易に組み込むことができます。

2022年1月27日Coherent

 

自動車メーカーが電気自動車(EV)の大量生産の準備を進めるにつれて、その製造方法はあらゆる面で改良されています。もちろん、目標はコストを下げつつ、車両の信頼性と性能を向上させることです。

EVにおいて重要なのは、車全体に電力を供給する導電ケーブルです。これらはバスバーと呼ばれています。大量の電流を流す必要があるため、バスバーは単なる電線とは異なります。厚いリボン状の金属製導体の周囲には、絶縁層が施されています(代表的な寸法は幅12 mm×厚さ3 mm程度)。ほとんどの場合、金属自体は銅で、アルミニウムの場合もあります。絶縁層はプラスチック材(通常はポリアミドPA12)です。

絶縁されたバスバー材は多くの場合、従来の電線のように、長いものをスプール状にして供給されます。自動車メーカーは、必要な長さを切り取り、必要な形に曲げます。必要な場所に電力を供給するために、車内の他の様々な部品や構造物を迂回する必要があることから、折り曲げ後の形状は非常に複雑なものになる場合があります。

製造工程のある時点で、バスバーの両端から絶縁層を取り除く(ストリッピングする)必要があります。これは、バスバーを他の部品と電気的に接続するために必要な工程です。自動車メーカーでは、この加工方法にあたっていくつか特定の要件があります。

第1は、費用対効果を考え、生産のボトルネックにならないように、絶縁層のストリッピングを迅速に行う必要がある点です。これは、わずか数秒で約25 mm(1インチ)の絶縁層を取り除くことを意味します。

第2は、絶縁層を完全に除去する必要がある点です。というのも、ストリッピングした部分に絶縁層が残っていると、電気的な接続が妨げられ、無駄な電力を消費してしまうからです(車両効率の低下)。加えて、バスバーの端は多くの場合、他の導体やバッテリーに溶接されています。プラスチックが導体表面に残っていると、溶接部を汚染し、電気的・機械的特性を低下させてしまいます。

最後に、ストリッピングによって導体自体を損傷させてはならない点です。損傷した場合、機械的強度が低下し、故障の原因となる可能性があります。

これらの理由から、刃物やスクレーパーなどの機械的な方法で絶縁層を取り除くことはできません。また、曲面や特殊な形の面に付着した絶縁層を刃物で除去することは困難です。

レーザによるバスバーストリッピングの始動

これらの同じ要件により、レーザはバスバー絶縁層ストリッピングのための最適なツールとなっています。というのも、レーザ加工が完全に非接触で行われるため、曲がった部品にも容易に対応できるからです。これにより、レーザ加工を迅速かつ柔軟に行えるようになります。

特に、CO2レーザはこのタスクに最適です。なぜなら、CO2レーザが遠赤外線を発生するからです。この光は、絶縁層に使われているほとんどのプラスチックには非常に強く吸収されますが、銅には強く反射されます。

つまり、レーザ光は絶縁層を急速に蒸発させますが、(銅はレーザ光を吸収せず、反射するだけであるため)導体に到達すると自動的に物質の除去を停止します。そのため、銅を完全に残したまま、絶縁層を簡単に取り除くことができるのです。

生産でのレーザバスバーストリッピング

実際に絶縁層ストリッピングを行うためには、レーザビームをバスバーの小さなスポットに集中させ、エネルギーを集中させます。この集束ビームを前後に高速に走査することで、絶縁層を除去する必要があるエリア全体をカバーします。

オプトジェネティクス(光遺伝学)

この方法を製造環境に導入する際は、実用上の重要な注意点がいくつかあります。たとえば、必要な加工スループットを得るためには、2台のレーザを使用します。それぞれが、バスバーの片側から絶縁層をストリッピングします(図には描かれていませんが、2台目のレーザが下から照射されていることになります)。2台のレーザを使用することにより、2つ目の面を処理するために部品を裏返すという手間も省けます。

また、レーザビームは一定の角度からバスバーに斜めに当てるのが最適です。これには2つの意味があります。第1は、レーザ光が反射してビーム伝送システムを損傷させる可能性を回避できるという点です。第2は、バスバーの上部と端部の両方から、レーザで一度に絶縁体を除去できるという点です(角度のついたレーザビームにより、バスバーの側面を「目視」できるため)。

このバスバーシステムは、バスバーストリッピングのための完璧なソリューションです。システムには、2台のPowerLine Cサブシステム、それに関連する走査光学系およびビーム伝送光学系、そして、必要となる制御エレクトロニクスおよびソフトウェアが付属しています。

PowerLine Cは、幅6 mmのバスバーの両側から、長さ30 mm、厚さ0.5 mmのポリアミドを約6秒で除去することができます。導体に損傷を与えずに絶縁層を除去できるため、歩留まりの高い加工を実現できます。

バスバーストリッピングシステムには、インラインタイプとスタンドアロンタイプの2種類があります。インラインシステムは、リボン状のバスバーを連続供給する、スプール供給機構と一体化しています。切断と最終曲げ加工の前に、レーザでストリッピングを行います。PowerLine Cは、バスバーの動きを遅くしたり止めたりすることなくストリッピングを行う、「オンザフライ」ストリッピングにも対応しています。スタンドアロンタイプでは、事前にカットされたバスバーや曲げられた状態のバスバーを、ロボットアームがピックアップしてシステムに配置した後、レーザストリッピングを行います。

高速で効率的なバスバーストリッピングの動作をご覧ください。

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