お客様事例

高信頼性のフェムト秒増幅器がSwissFELの集中的なマルチユーザー研究プログラムを支援

課題

自由電子レーザ(FEL)は、長さが数百メートルもあり、マイクロ波からX線までの波長でフェムト秒単位の強いパルスを発生させる「ビッグサイエンス」の装置です。SwissFELは、スイス北部のパウル・シェラー研究所(PSI)に設置された、X線パルスの発生に特化したFELで、波長域は1 Å~70 Åです。物理学、化学、バイオにおける超高速ダイナミクスを研究するためのマルチユーザー施設として、2016年から稼働しています。ほとんどの実験は、2つのフェムト秒パルスと可変遅延を用いた励起プローブ法で行われています。そのため、FELからのX線プローブパルスと合わせて、ポンプとして使用するフェムト秒レーザが必要となります。求められたのは、特定の繰り返し周波数(100Hz)での高いパルスエネルギー、優れたビーム品質、高い信頼性でした。

ソリューション

SwissFELのスチーブン・ジョンソン教授は、「テラヘルツ波の生成など、非効率な非線形変換を行っても高いパルスエネルギーが得られるように、20ミリジュールのパルスエネルギーと高いビーム品質を求めていました。これは、チタンサファイア(Ti:S)増幅器を意味します。ただし、市販のTi:S増幅器の多くは1 kHz動作用に最適化されています。私たちのFELは100 Hzのパルスレートに設定されているので、この遅いレートに最適化された増幅器が欲しかったのです」。さらに、ジョンソン教授は信頼性が特に重要だったと指摘しています。また、「数か月前から来訪者を予定し、わずか5日間で実験を行うという密度の濃いカレンダーを用意しています」と述べています。増幅器はすべてのユーザーに24時間完璧なパフォーマンスを提供する必要があります。予定外のダウンタイムは絶対に許されません。そこで、カスタムレーザの性能と、成熟した商用レーザ光源の信頼性を両立させたいと考えました。」PSIはCoherentウルトラファーストレーザの信頼性の高さを以前から知っており、メンテナンスなどによるダウンタイムをなくすため、冗長性を持たせた20mJ/100HzのLegend Elite増幅器を2台購入することを決定しました。

成果

ジョンソン教授は、この増幅器の信頼性は期待以上のものであると述べています。彼はこの発言を裏付ける証拠として、SwissFELでの研究に基づいて発表された多様な論文の数々を挙げています。これらの論文は、生物学者によるタンパク質の一過性の研究から、最終的にはより高速な電子デバイスにつながる可能性のある材料の高速偏光を研究する彼自身の研究まで、多岐にわたっています。ただし、究極的な妥当性は、Swiss FELが(2020年に)Coherentの3台目のチタンサファイア増幅器を発注したことにあると言っても過言ではありません。

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増幅器はすべてのユーザーに24時間完璧なパフォーマンスを提供する必要があります。」

— Steven Johnson教授、グループリーダー、SwissFEL、PSI、スイス

 

 

Paul Scherrer Institute (PSI)、スイス

図1: SwissFELは、スイス北部にあるPaul Scherrer Institute (PSI)に設置されています。

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