ソリューションの概要

Coherent製ファラデー回転子を用いたウルトラファーストレーザチタンサファイア再生増幅器でのパルスの選択

1 ウルトラファーストレーザ再生増幅器からの高エネルギーパルスの選択

入力から出力を分離するには、特殊な光学系が必要です。...

チタンドープサファイア(チタンサファイア)結晶は、数フェムト秒(fs)までのパルスを発生する最短パルス発振ウルトラファーストレーザシステムに広く利用されています。チタンサファイアの波長域は約650~1,100 nmと非常に広いですが、多くのシステムはレーザの利得と効率を最大化するために800 nm付近の波長で動作しています。優れた熱伝導性、比較的容易に利用できる励起波長などの追加の特性があるため、チタンサファイア利得媒質はオシレータと増幅器の両方に役立ち、幅広いパルスエネルギーの利用を可能にします。低エネルギー側では、ウルトラファーストレーザオシレータは最も高い繰り返し周波数(通常はメガヘルツ以上)を提供しますが、ナノジュール(nJ)レベルに制限されます。

ウルトラファーストレーザオシレータのシード光源にシングルパス増幅器を加えることで、たとえばCPA(Chirped Pulse Amplification:チャープパルス増幅)設計を採用すると、マイクロジュール(μJ)のパルスエネルギーを数10〜数100キロヘルツで得ることができます。ただし、ミリジュール(mJ)を必要とする多くの理科学的用途やいくつかの産業用途が存在します。ウルトラファーストレーザシステムのエネルギーを高めるために、マルチパス増幅器が使用されます。

特定の種類のマルチパス増幅器の一つである再生増幅器(図1)は、光スイッチを含む光共振器内に配置された増幅器利得媒質を複数回通過させて、往復回数を制御することで非常に高い総合利得を実現します。再生増幅器の仕組みの鍵は、目標レベルまで増幅された後のパルスを選択する能力です。

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図1:ファラデー回転子(FR)の使用とその位置を示している代表的な再生増幅器の設計例。

パルスを選択する目的を達成するためには、順方向と逆方向の偏光回転に非相互的光学系を用いる必要があります。これは光ファラデー回転子で実現できます。

 

 

再生増幅器は高パルスエネルギーの超短パルスを実現します

  • マルチパス共振器設計により、高利得、mJレベルのエネルギーを得ることができます。
  • 共振器設計とは、入力パルスと出力パルスが同じビーム経路を通ることを意味します
入力パルスから出力パルスを分離する方法が必要

2 ファラデー回転子を用いた偏光の選択

ファラデー回転子は、特殊な性質を持つ磁気光学材料で作られたパッシブ光学デバイスです。これは、光の直線偏光を維持したまま、偏光面を正方向に45°回転させ、さらに逆方向に非相反で45°回転させることで動作します。偏光光学系と組み合わせて使用した場合、ファラデー回転子は、光を共振器内に入れ、偏光状態が切り替えられたときに光を出力経路に送るために使うことができます。低吸収、高損傷閾値の光学系を備えたCoherent製ファラデー回転子とアイソレータは、平均出力レベルが50 Wまでのウルトラファーストレーザシステムでの使用に最適です。

ファラデー回転子を選ぶ場合、考慮する必要があるいくつかの基準があります。これには、入射ビームサイズ、回転子への入射光出力とエネルギー、次の段階に必要な伝送出力などがあります。

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3 ファラデー回転子の取り付け

再生増幅器システムの光路にファラデー回転子を取り付けるのは、比較的簡単です。Coherent製の各ファラデー回転子には、ビームパス内のデバイスの整列方法を解説しているユーザーマニュアルiが付属しています。適切な回転子を選ぶには、光ビームサイズ、光出力、中心波長とバンド幅などのパラメーターを考慮する必要があります。当社の製品は、選択されたモデルの厳密な仕様に合わせて製造されています。再生増幅器システムにファラデー回転子を取り付ける場所の例については、図1をご覧ください。実際の応用例については、参考資料2iiをご覧ください。

4 分散に関する考慮事項

分散はウルトラファーストレーザにとって重要な問題であり、パルス幅、つまり超短パルスのピークパワーに影響する可能性があります。分散は、光パルスがその周波数(または波長)に応じて位相速度が変化する媒質中を進むときに発生します。ファラデー回転子の材料は分散性があるため、このデバイスを通過するパルスは長さが広がることがあります。ただし、その影響の大きさと関連性は、最初のパルスと応用の両方に依存します。

一般に、チタンサファイア再生増幅器は、光バンド幅が30~40 nm以上の範囲にある20 fs以上iiのパルスを発生します。実際のシステムのバンド幅は、システムで使用されるファラデー回転子の長さとともに、パルスがデバイスを通過する際に発生するパルス広がりの大きさを決定します。システム内の他の光学系は、実際にはファラデー回転子よりも多くの色分散を発生させる可能性があり、光学系のチェーン、特にポッケルスセル切替光学系からの分散の総量を慎重に補正する必要があります。

図2は、8 mmのテルビウムガリウムガーネット(TGG)を用いたファラデー回転子が、10~10,000 fsの範囲で 800 nm超短パルスのパルス幅にどのような影響を与えるかその一例を示しています。これは、TGGについてのセルマイヤーの式を使って行われましたiii。

周波数に依存した遅延をパルスの異なるスペクトル成分にもたらす群速度分散(GVD)は、(通常、単位:fs2/m)ivで表されます。

屈折率の二次導関数を解析的に解くことで、GVDに材料の長さ(この場合、回転子に使われているTGG)を乗じて、GVDに関連する特定のデバイスの実際の二次分散(ここではβ2で示す、二次群速度分散)を計算することができます。この情報は、TGG回転子材の長さを通過した後、与えられた入力パルス幅に対する出力パルス幅を計算するために使用されます。入力パルス長の二乗である(t0 2)がβ2よりはるかに小さい場合、β2に比例するパルス広がりを表す式vを使用できます。

これらの計算を実行することで、800 nmの範囲での分散量β2は、8 mmの長さのTGGで1,500 fs2未満であることがわかりました。10〜10,000 fsのパルスの二次分散の大きさから推定される広がりを下のグラフに示します。75 fsを超えるパルスでは、パルス広がりは問題にならないことに注意してください。ただし、多くの再生増幅器システムでは、可能な限り短いパルスを得るために、ファラデー回転子でのTGGの分散を分散補正スキームで考慮する必要があります。

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図 3:1,050 nmのフェムト秒パルスが8 mmのTGGを伝搬した後の広がり(青の曲線)を、歪みのないパルスの出力(赤の曲線)をそれぞれ示しています。

 

5 まとめ

再生増幅器を用いたウルトラファーストレーザシステムを設計する場合、ファラデー回転子の使用がその動作の鍵となります。レーザシステムにCoherent製ファラデー回転子を使用することで、目標性能を達成することができます。

お使いのウルトラファーストファイバーレーザシステムでCoherent製ファラデー回転子を使用する方法については、当社までお問い合わせください。

 

参考資料:

i ファラデー回転子とアイソレータに関するCoherentのユーザーマニュアル

ii C. Barty, T. Guo, C. Le Blanc, F. Raksi, C. Rose-Petruck, J. Squier, A.Tian, K. Wilson, V.Yakovlev, and K. Yamakawa, ”Generation of 18-fs, multiterawatt pulses by regenerative pulse shaping and chirped-pulse amplification”, Opt. Lett. vol.21, 668 (1996).

iii U. Schlarb and B. Sugg, “Refractive Index of Terbium Gallium Garnet”, Phys.Stat. Sol.(b) 182 K91 (1994)

iv 出典として、群速度分散の詳細については、G. P. Agrawa著『非線形ファイバー光学』を参照

v. 「分散パルス広がりとチャーピング」セクションを参照。参照先:http://www.rp-photonics.com/chromatic_dispersion.html

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