カタログ
ラマン分光技術を
THz領域に拡張
単独の計測で化学組成と分子構造を分析
化学的・構造的特性の同時測定が可能
Coherentが特許を取得した1 THz-Raman™システムは、単独のリアルタイム非破壊測定において、材料の特性分析の効率と信頼性を高めます。二次的な「構造指紋」とも呼ばれるラマンスペクトルの低周波数(低波数領域)を明らかにすることで、完全な化学指紋を保持しながら、材料の主要な構造特性を直接観察し、識別することができます。

THz-Raman領域(±5 cm-1~200 cm-1)は、フォノンモード、格子モード、回転モードなどの分子間/分子内振動のTHzエネルギー振動(150 GHz~6 THz)に対応しています。これらは通常の振動モードの5倍から10倍の強度を持つことが多く、信号強度を大幅に向上させることができます。ストークス信号と反ストークス信号の両方を捕捉することでスペクトルの特徴が検証可能となり、信号の対称性により励起波長(0 cm-1)を正確に決定できるため、システムの再校正は不要です。


図1:THz-Ramanベンチトップモジュール
THz-Raman分光モジュールは、お手持ちのラマン分光器をTHz領域へ拡張可能な、超小型のプラグアンドプレイソリューションです。超狭帯域ASEフリーのレーザ光源、NoiseBlock™ 90/10ビームスプリッター、デュアルステージSureBlock™ノッチフィルターで構成され、OD9以上のレイリー減衰および5 cm-1までのストークス信号と反ストークス信号の捕捉を実現します。(図1)

図2:カルバマゼピン錠のTHz-Ramanスペクトルでは、多形と水和物の形状が明確に識別される。²
システム構成
すべてのTRシリーズTHz-Ramanモジュールは超小型で、ファイバーを経由してほぼすべての分光器やラマンシステムに簡単に接続が可能。高出力で、波長安定化された単一周波数のレーザ光源は、超狭帯域ASE、ビームスプリッター、およびノッチフィルターに正確にマッチングされ、最大のスループットと励起光源の優れた減衰(OD 9以上)を実現します。532 nm、633 nm、785 nm、808 nmの幅広い励起波長に対応しています。
TR-PROBEはその場での反応やプロセスモニタリングを可能にする、小型で堅牢なTHz-Ramanプローブです。さまざまな侵入プローブ先端部分、接触プローブ先端部分、便利なバイアル/錠剤ホルダー、透過ラマンアダプタ、顕微鏡マウント、方向転換可能な非接触光学などのサンプルインターフェイスアクセサリとも柔軟に構成できます(下記のオプション参照)。CleanLine™ レーザ(別売り)はマルチモードファイバーによりASEフリーの励起を実現するため、電気接続がない厳しい環境でもプローブを動作させることができます。オプションとして、S偏光とP偏光を同時測定するための円形偏光または二重ポート/二重偏光出力もご用意しております。
ベンチトップ型の TR-BENCH は、交換可能なサンプルインターフェイスアクセサリホルダーの装着により、迅速かつ容易な測定を実現します。このシステムには、カスタマイズされた集光光学系や独自システムへの統合を可能にする一般的なケージマウントプレート(コリメート出力ビームを中心)が同梱されます。オプションとして、S偏光とP偏光を同時測定するための円形偏光または二重ポート/二重偏光出力もご用意しています。
TR-MICRO は標準的な顕微鏡プラットフォームやマイクロラマンシステムに直接取り付けることができ、光路の切り替えも簡単にできます。直線偏光が標準ですが、オプションで円偏光もあります。

THz-Ramanモジュールはあらゆる市販のラマンシステムや分光器と互換性があり、Coherentでは、適切な分光器を推奨または統合し、完全なターンキーシステムとして提供しています。



豊富なサンプルインターフェイスアクセサリにより、TR-PROBEおよびTR-BENCHは容易に構成し、幅広い用途に対応させることが可能です。侵入型または接触型のプローブ先端部分には固定式のSwageLokマウント、またはアライメントが必要な長いプローブには調整可能なチップ/チルトプローブマウントを使用できます。バイアル/錠剤サンプルホルダーは調整可能なステアリングミラー、交換可能な焦点レンズ、安全シャッターを内蔵。操縦可能な非接触光学系マウントは、長距離収集パスを必要とする用途に向け、高精度アライメントと交換可能な集光オプティクスによる出力ビームの投影とステアリングを実現します。錠剤やバイアルのバルクサンプリングに最適な透過ラマンアダプタ(プローブのみ)や、光学入力/出力スイッチとビームステアリング調整が可能な顕微鏡マウントなど、新しいアクセサリが追加されました。



THz-Ramanの用途例
結晶のモニタリングと分析THz-Ramanスペクトルを用いることで、共結晶の同定や生成のモニタリングも向上します。上の図は、カフェインと2-安息香酸の混合物で共結晶を生成した際に起こるピークシフトがはっきりと確認できます。

ガス感知 THz-Raman領域では、多くのガスの回転モードをはっきりと観察することができます。信号強度は指紋領域の10倍にもなり、ラマンによって超高感度ガス感知の可能性が広がります。また、ストークス/反ストークス比は、現場での温度感知に利用できます。

多形体の特定 医薬品の多形体や水和物は、原料分析や最終製品、生成過程モニタリング、QC用途などにおいて容易に特定できます。

相モニタリング室温(α)から95.2℃(β)、さらに融点115.21℃(λ)まで加熱すると、硫黄の相変化が観察されます。THz-Raman領域におけるピークの位置、形状、大きさの変化がはっきりと確認できます。結晶相で見られた鋭く尖ったピークが、硫黄の液化に伴って広がり、消滅しています。

相モニタリング 低周波スペクトルは、多形変態のモニタリングに使用できます。上のウォーターフォール図は、無水テオフィリンが凝集スラリーに変化する前後の約100秒間の様子を示しています。(データ提供:Clairet Scientific Ltd.)

合成パスウェイ解析:爆発物科学捜査ETN(四硝酸エリスリトール)の複数サンプル、成分と準備過程の系統的な多様性を示し、明らかな差異が示されています。

1 米国特許 7,986,407および8,184,285。
2 SureBlock™ノッチフィルター、シングルステージスペクトロメータを用いて785 nmで測定されたデータによる。
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