ソリューションの概要

ARMファイバーレーザで
自動車のシート溶接を改善

はじめに

自動車のフロントシート構造は、(燃費に影響する)総重量と強度や耐衝撃性のバランスを取るためにますます複雑になってきています。これらの相反する要求を満たすため、現在は3層から5層の厚鋼板をサンドイッチしたシート構造を採用することが一般的になっています。アセンブリの厚みを薄くして重量を減らすためによく使用されているのが高張力鋼(HSS)です。

しかし、このような多層構造の溶接には課題があります。1つは複雑な形状の部品を溶接するときに溶け込みを一定に維持することです。次に、スパッタが生じるため溶接後に洗浄工程を組み入れる必要があります。最後に、これは特にHSSに言えることですが、厚みのあるアセンブリの溶接に必要な超高出力レーザに暴露された後に急速に冷却されると、割れる傾向があります。

 

加工方法

100 μm/290 μm(センター/リング)径の伝送ファイバーを用いたCoherent HighLight FL-ARMファイバーレーザをII-VI RLSKリモートレーザ処理ヘッド(焦点距離450 mm)と組み合わせて使用し、3倍の倍率で作業面にレーザの焦点を合わせたところ、レーザ出力は1800 W/5000 W(センタービーム/リングビーム)になりました。溶接速度は最適な結果が得られるように調整し、最も厚みのあるアセンブリで6.3 m/分、最も薄いアセンブリで8.8 m/分となりました。このテストは、デトロイトのII-VI HighYAGアプリケーションラボの協力を得て実施されました。

 

結果

クローズドループの出力制御と、HighLight FL-ARMファイバーレーザの後方反射の影響を受けない特性により、溶接の溶け込みが非常に均一になりました。最も重要なことは、特殊な溶接終了レシピを採用することで亀裂のないHSS溶接を実現できたことです。具体的には、溶接端部でセンタービームとリングビームの出力を別々に下げるというものです。これにより溶接部が冷却される際の温度勾配が緩やかになり、応力亀裂に至る冷却とは異なるものになりました。FL-ARMは供給されたレーザエネルギーを広い範囲に広げ、温度勾配を最小限に抑えることができるだけでなく、乱れの少ない安定した溶融プールを実現しました。このテストではスパッタを実質的に除去することができたのです。

 

適用分野

自動車のシート溶接自動車産業

 

 

斜方晶系結晶相における鋭いピーク

図 1. 極めて均一な溶接の溶け込み

 

THz-ラマンスペクトルをモニタリングしながらの動的加工方法測定

図 2: HighLight FL-ARMレーザ(II-VI HIGHmotion 2Dスキャナ装備)

 

5分刻みでプロットされた個々のスペクトル
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