お客様事例

MBARI:レーザライトシートで深海の生物を撮影

課題

真っ暗で、水圧が非常に高く、気温が低いため、深海は独特の環境になっていますが、驚くほど非常に活発で複雑な生態系が存在している。深海には、科学者がもっと知りたいと思っている、驚くべき多様な生物が生息しています。MBARI(モントレーベイ水族館研究所)の学際的研究チーム(Bioinspiration Lab)は、生体力学や流体環境との相互作用など、これらの生物の形態と機能の研究に注力しています。深海に生息している生物は繊細で半透明であるため、体の表面に触れたり海面に持ち出されることで簡単に傷んでしまうため、この研究には多くの課題があります。研究チームは、標本を傷つけないようにそっと採取して、実験室の環境で迅速に研究することにある程度成功していますが、本来の生息地である深海でこれらの生物を画像化して分析できるようにする必要があります。

ソリューション

研究チームのリサーチエンジニアであるジュースト・ダニエル氏は次のように述べています。「私たちは、研究室で画像を撮影するためのブレッドボードの光学装置を開発しました。例えば、遊泳運動などの運動による水流を詳しく見ることができる標準的な粒子画像流速測定法(PIV)があります。そこで私たちは今回、遠隔操作型無人探査機(ROV)に搭載可能なコンパクトで堅牢な装置を用いて、水深4 kmまでの遠隔操作を再現することにしました」この装置(DeepPIV)は、薄いシート(1 mm)状のレーザ光でサンプルを照射し、デジタルカメラで2D画像を撮影します。3Dスキャンは、対象となる生物に対して無人探査機や機器全体を動かし、画像再構成を行うことで、3Dの画像を生成することができます。研究チームはいくつかの理由から、639 nmで2ワットの低ノイズ出力のCWレーザ(Coherent Genesis)を採用しました。ダニエルズ氏は、次のように説明しています。「深海の生物に届くわずかな光は青や緑で、彼らは赤い光に遭遇したことがなく、ほとんどの生物は赤い光にまったく反応しません。このため、私たちの技術を用いると、生物本来の動きを乱すことはありません」また、55 cm × 30 cmの画像を最大毎秒60フレームで照らすには、最低でも2ワットの出力が必要だったと付け加えています。また、予期しないダウンタイムが発生しないように、このレーザは堅牢で信頼性の高いものでなければなりませんでした。また、防水保護仕様の筐体からROVの多関節アームの先端まで、効率よくファイバーを結合できるようにするためには、他の重要な要素として、ビーム位置安定性とTEM00のレーザビームの特性が必要であると述べています。

成果

深海で最も繊細な生物の構造の中には、幼虫などの生物が餌を捕獲したり、捕食されないようにするために分泌する粘液構造があります。MBARIチームがDeepPIVシステムを使って成功させた研究の1つに、これらの粘液形態の高解像度3D画像の作成があり、これによりその構造と機能の詳細が明らかになりました(参考)。このシステムは、主にモントレーキャニオンの深海部に設置され、水深4,000メートルに対応しています。水圧は6,000 psi近くあるので、まさに高圧の研究環境と言えるでしょう。

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「数千メートルの深海でシステムを操作し、波長639 nm、2ワットのCWレーザ光を使用して、繊細な生物の構造や動きを画像化しています」
 

— ジュースト・ダニエル、リサーチエンジニア、モントレーベイ水族館研究所、カリフォルニア州モスランディング

 

 

 

High-Resolution 3D Images Produced by DeepPIV Laser System

図1:DeepPIVのレーザシートで照射された、粘液で囲まれた巨大幼生オタマボヤ。Copyright Kakani Katija / MBARI.

            

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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